小賢しい若者の言葉を大人が誠実に受け止めてるって印象。三島の懐の深さ誠実さを感じたな。芥は抽象的かつ観念的な言葉ばかりで共感できんわ。三島への態度も経緯を欠いている。総じて全共闘の主張はピンとこないものばかり。だから当時も支持されなかったんだろう。とはいえ全共闘も三島も根っこは反米愛国で共通してるのはニヤリだった。いずれにしても貴重な映像だし三島由紀夫に触れる初手としておすすめ。瀬戸内寂聴は不要w
芥との討論はもう少し減らしてよかったんじゃないかなー。理解し難い言葉だらけで正直何を言ってるのかわからなかった…。芥の理想夢想にすぎる言葉は芸術家ゆえかなのかな。三島も作家ではあるけど行動を重視する人だからぶつかるのは必然とはいえ、討論としてもあまり盛り上がらず、途中で「観念的こじづけじゃないか。三島をぶん殴る会があるから来たんだ!」てやじが飛ぶのもわかるw
天皇についての議論は見応えあったな。三島は天皇は日本の歴史と文化、伝統の中心にある存在だって考えなので、左翼的思想の学生だちとはまったく相容れない。日本という国家や国籍すら否定するわけだし。そんななかで、三島の「天皇と言ってくれれば喜んで諸君と手を繋ぐのに」て言葉にはハッとさせられたし、反米愛国で共闘できるのもなるほどなと。
締めの三島の言葉がまた響いた。「天皇という言葉がこの部屋の中を飛び回った。その言葉を言霊を私はここに残して去っていく。私は諸君の熱情は信じます。これだけは信じます。他のものは一切信じないにしても、これだけは信じるということをわかっていただきたい。」こんな言霊を残して、真剣勝負の場を颯爽と去っていく三島由紀夫の凄さたるやだ。
三島はとにかく若者と話がしたかったんだろうなー。でも言葉だけではやっぱり限界があったんだろう。この討論から1年半後に行動を起こすに至る…。三島が命をかけて呼びかけた憲法改正が成される日はいつ訪れるのか…。
三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020)
監督:豊島圭介
出演:三島由紀夫, 芥正彦, 木村修