告白小説、その結末

告白小説、その結末

久々のポランスキー監督作品。上質で無駄のないサスペンス。堪能したわー。エマニュエル・セニエはさすがに老けたけどその枯れ具合が今作でどハマリしててとてもよかった。そして相手役にエヴァ・グリーンをもってきたのが大正解! 魅惑的な美貌と演技力に最後まで目を奪われた。ネタバレ厳禁な物語なのであまり語れないけど、ポイントは最初と最後シーン。この対比とオチを理解できると震えるね。さすがはポランスキー監督だ。

ここからネタバレあり!!!

この作品は映画を見る力をちょっと試されるところがあるよなーと。スランプに陥った小説家デルフィーヌに近づく謎の女エルは何者なのか?実在するのか?が重要なテーマの一つなんだけど、ミスリードが多くて騙されやすいし混乱しやすい。

結論、エルはデルフィーヌが作り出した自身の別人格だ。そう考えられる根拠として、エルと会話するのはデルフィーヌだけだし、他の人達は一切エルを見ないし話しかけもしない。デルフィーヌがやりたくないことをエルがやってくれるし、そもそも名前がフランス語で「彼女」を表す「エル(Elle)」であること。あとエルがゴーストライターなのもそう。

よくエルのことを無理やり小説を書かせる狂信的なファンだとして『ミザリー』と似てるってレビューがあるけど的外れだよなー。エルはデルフィーヌが作り出した実在しない別人格なので、もし似てる作品をあげるなら『ファイトクラブ』だろう。エル=タイラー・ダーデンだ。

デルフィーヌは小説の主人公となる人格を別に作り出して、その人格に憑依されながら創作していくスタイルの人なんだろうなと。エルはスランプに陥っているデルフィーヌにやたらと自分自身を主役にした私小説を書けと怖いくらい叱咤するんだけど、それも実はデルフィーヌが本音では私小説を書きたいと考えているがゆえだから。

つまりデルフィーヌは、前作では母親を題材にした小説で母親の人格を作り出してそれに乗っ取られていた。ゆえに冒頭のサイン会のシーンではやたらと老け込んだように疲れていた。そして、新作はデルフィーヌがエルという人格を作り出し少しづつエルに蝕まれていくなかで、エル(デルフィーヌ自身)を題材にした小説を創作したのだ。ラストシーンのデルフィーヌは外見そのまんまエルになってたし。上手いなー。

結局、エルはデルフィーヌの若い頃の人格で、エルが語る過去の物語もすべてデルフィーヌの若い頃の記憶だったんだろうなー。そう考えるとエルがデルフィーヌに語った物語とかどれもけっこう怖いよな…。旦那のことや父親のこと、キキのこととか、ゾワッとするな…。

正直、エルが初めて出てくるシーンで「この女はデルフィーヌの妄想だな」てわかってしまったんだけど、よく気がついたなっていうよりは、ポランスキー監督があえてそういう撮り方、見せ方をしてるんだろうなって感じがする。そこで満足してたら本質を見逃すよ?みたいな。ほんとうまくやられた感あるわー。Blu-ray買ってしまうかもw

告白小説、その結末(2018)
監督:ロマン・ポランスキー
出演:エマニュエル・セニエ, エヴァ・グリーン, ヴァンサン・ペレーズ

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この記事を書いた人

東京在住映画好きアラフィフ男子。最近はもっぱらVODでの鑑賞がメイン。でもやっぱりスクリーンで観たい。息子を映画好きにする計画実践中!

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