大満足。久々に日本映画の底力を感じたわ。東映の本気と白石監督の手腕があってこその作品だな。原作ありの骨太な物語と熱量あふれまくりの俳優陣、そして昨今のコンプラ無視な暴力描写、どれも素晴らしい。役所広司はもちろん圧倒的なんだけど、驚いたのが松坂桃李。こんなにいい役者だったとは…。血糊の色がどす黒い赤なのもリアルでよかった。オール広島ロケだけあって雰囲気も抜群。夜の歓楽街はノワールな雰囲気すら漂う。
以下、ネタバレあり!
広島・呉が舞台の東映ヤクザ映画ってまんま『仁義なき戦い』だし、県警VS暴力団って構図は同じ東映の『県警対組織暴力』だよなー。と思ったら、原作小説の柚月裕子さん自身が両作品の大ファンなんだとか。すごい納得感w
クラブ梨子のママを演じる真木よう子がちょっと軽めで物足りなかった。大上の秘密と過去を知るキーマンなんだからもっと重厚感が欲しい。かたせ梨乃や高島礼子みたいな若手はいないのか? クラブのママが下っ端の構成員と付き合うのも無理があるよなー。原作でも同様なんだろうか?
めちゃめちゃネタバレになるんだけど、大上の水死体があがったシーンが特に印象に残ってて。現場にかけつける日岡のそんなまさか!嘘であってくれ!という感情とスロモーションな演出があいまって息をするのも忘れるくらい引き込まれてしまった…。そしてやたらリアルな水死体のビジュアル。白石監督の本気を感じたよ。
あと、竹野内豊がやたらと武闘派なヤクザで怪演してた。これ仁義なきの大友オマージュじゃないの?ってくらいビジュアルと言動が似てたなw
孤狼の血(2018)
監督 白石和彌
出演 役所広司, 松坂桃李, 真木よう子, 竹野内豊, 石橋蓮司, 江口洋介