TV番組の生放送スタジオを舞台にしたシチュエーションホラーで、視聴率に取り憑かれた主人公と悪魔に取り憑かれた少女リリーの物語。悪魔憑きの演出とビジュアルはホラー好きも満足の出来。ただ主人公や妻、カルト教団の行動や動機が不明瞭で腑に落ちない部分も少々。でもリリーに取り憑いたのは悪魔であり、「悪魔は犠牲を要求する」がキーワードだと考えると筋が通り、鑑賞後も考察の楽しみがありまくりの味わい深い作品だった。
ここからネタバレ!
主人公ジャックの動機と行動がポイントで、ジャックはTVのトークショーの低視聴率に悩んでいる。そこでカルト教団「グローブ」の儀式で悪魔に視聴率No.1を取引した。で、代償として妻のミニーを肺がんで亡くすことになる。がしかし、ミニーもそれを納得したうえでの犠牲だった?夫の野望のために身を差し出した?
劇中に度々現れる彼女の姿はジャックの妄想や懺悔の表れか、あるいは怨念なのか。この曖昧さが物語のスリルを増している。いずれにしても、ジャックは視聴率のためにミニーを捧げたのは間違いない。そして、そこまでしたのに、1ポイント視聴率1位に及ばなかったという悲劇。
ミニーの死後、ジャックは一ヶ月ほど行方不明だった。この期間に何をしてたかが気になりポイント。おそらくはもう一回、悪魔と取引をしたんだろう。そしてその代償であり犠牲が、ラストのリリーの死だったんだろうと考えると納得感もあるかな。最後は『キャリー』かよとw
観賞中はリリーに憑依した悪魔をミリーだと思い込んでたので、いろいろピースが繋がらず混乱しまくったけど、鑑賞後に映画部のメンバーの意見を聞いてもろもろ納得できた。やっぱり映画観た後にみんなでワイワイやるのはいいね。満足感もましましだw
悪魔と夜ふかし(2023)
監督 コリン・ケアンズ, キャメロン・ケアンズ
出演 デヴィッド・ダストマルチャン, ローラ・ゴードン, イングリット・トレリ