
1月15日に死去したデビッド・リンチ監督の追悼上映で4Kレストア版を鑑賞。20年ぶりに観たけどやっぱ最高。唯一無二のリンチワールドにどっぷり浸れた。とかく難解とされる物語は現実と妄想の境界が曖昧だからこそ。だけど実は論理的だったりする。その独自の展開と構造ゆえに観るほどに謎を解きたくなる魅力があるんだよな。そしてナオミ・ワッツの演技は圧巻だ。オスカーあげたい。改めて、リンチ監督に深い敬意と追悼を。
ここからネタバレあり!
昔観たときよりはわかりやすかった。でもやっぱり謎は残る…。もろもろあとで追記する。
で、以下追記。思いついたら随時更新する。
本作は、女優を夢見て田舎からハリウッドに出た一人の女性が、夢にも恋にも敗れる物語だ。欲望渦巻くハリウッドの光と影も交錯し、物語はより複雑に。でも、つまるところ、ナオミ・ワッツ演じるダイアン(ベティ)の夢と現実の物語といえる。
まず、大きな構成として、前半はダイアンの夢であり願望。後半がダイアンの現実。夢と現実の切り替わりのタイミングは、シレンシオから帰宅してからカミーラがブルーボックスに鍵を差し込んだタイミング。そして、ダイアンが見た夢は、現実世界で拳銃自殺したダイアンの走馬灯。だからこそ、夢の中ではダイアンの理想の世界が展開される。
夢の中に登場する人物はすべてダイアンが生み出したものであり、ダイアン自身の影だと考えられる。つまりは同一視なんだろう。ブルーボックスはそんな夢から覚めるためのトリガーだった。カミーラがボックスを開いたことで、ダイアンが夢見た世界が終わり現実の世界に引き戻されたわけだ。
ダイアンは現実世界ではカミーラにもふられて、役者業もままならず、ヤク中で、ほぼ売春婦のような生活になっていたんだろう。もちろん、カミーラ殺しを依頼したポン引きとも付き合う関係性だと推察される。つまり、夢も恋も破れ、ダイアンは転落の果てに自ら幕を下ろした。
ダイナーの裏側にいる浮浪者は死を司る死神であり、同時にダイアンの未来の姿でもあると解釈できる。だから浮浪者を目撃した太眉(これもダイアンの影)は驚いて卒倒するし、ダイアン自身も浮浪者に恐怖する。ゆえに死神が夢から覚めるブルーボックスも持ってるのも納得できる。
ただ、よくわからないのが、ブルーボックスを開けたときになぜダイアンは消えたのか。なぜ箱を開けるのがカミーラだったのか。夢から覚めるギリギリでダイアンがカミーラと一つになりたい願望が叶ったのでは?なんて解釈するのは好意的すぎるかなー。
結局、監督の意図なんて誰にもわからないし、そもそも正解なんてない。だからこそ、何度でも楽しめる。リンチ監督の置き土産と思うとありがたいね。他の作品『ブルー・ベルベット』『ロスト・ハイウェイ』『インランド・エンパイア』も再鑑賞せねば。
ちなみに、今『ツイン・ピークス』を見返している。ザ・リンチワールド。未視聴のシーズン3に早くたどり着きたいw
マルホランド・ドライブ(2001)
監督:デビッド・リンチ
出演:ナオミ・ワッツ, ローラ・ハリング, ジャスティン・セロー, アン・ミラー