キョンキョンが汚れ役だったからか、意外に存在感のある演技で驚かされた。さすがに表情とか見てると年齢を感じるけど、その崩れ気味な表情(言いたい放題w)にリアルな色気が漂っている。ロードムービーっぽい北海道の道や自然の映像も素敵。冒頭の桜とキョンキョンの赤いコートが目に焼きついてる。
物語もなかなか染み入る展開。1人では歩けない弱い男と女が寄り添うように旅をする。とはいえ、ダラダラと冗長な描写は日本映画らしさ満点。「はよ話進めんかいっ」と突っ込み倒すこと限りない。2人が乗る車がなぜかピンク色だったり、雪の中で突如躍りだしたりするシーンもちとあざとい。浅野の演技はもう何も言うまい…。
ちなみに、「風花」とは春先の晴れた日に風に吹かれて飛ぶ雪片のこと。ひらひらと風に舞う桜の花びらのように、しかしすぐに消えてゆく。なるほど、素敵な言葉だ。日本語ってほんと素敵だと思う。
本作が相米慎二監督の遺作となってしまったのが惜しい。
風花 kaza-hana(2001)
監督:相米慎二
出演:小泉今日子, 浅野忠信, 麻生久美子