『パラサイト』のポン・ジュノ監督の代表作。実際の未解決連続殺人事件を題材にした作品だけど、テンポがいまひとつであまりハマりきれず……。ラストシーンはグッときたけどね。これ、犯人探しよりも暴力的な捜査を繰り返す当時の警察組織、ひいては軍事政権への告発こそが監督のテーマなんだろうな。
80年代の韓国は全斗煥大統領による軍事政権の統治下にあってかなり暗い時代だったらしいんだけど、このへんの歴史の知識が足りなかったのもハマりきれなかった一因かもしれん。
それはそれとして、2019年になって真犯人が特定されたっていう事実がまたドラマチックだよなー。で、特定したのがDNA鑑定というのがこれまた皮肉……。
以下、ちょっとネタバレ!
ラストで、ソン・ガンホがカメラ目線でこちらを凝視するシーンは「お前が犯人なのか?」と、今でも何処かで実在してこの映画を観てるかもしれない真犯人に向けたメッセージと捉えると、ちょっとゾクッとくるね。
ただ、地方刑事とはいえ、パク刑事や飛び蹴り刑事の杜撰かつ強制的な捜査があまりに酷すぎて、80年代後半でもこのレベルかよとビックリ。飛び蹴り刑事の足切断は自業自得なり。
その反面、ソウルから来たソ刑事は唯一至極まっとうな捜査をしていたのに、最後は暴力全開で容疑者をボコボコにしてしまうまさかの闇落ち……。ちょっと切ない。
てか、もっとちゃんと捜査しろよなー。女性警官ギオクのラジオ情報も無理くりだけど、この情報が無かったら捜査が進まなかったと思うとあまりにお粗末すぎるわw