誰からも忘れられ続けた男・三井が大学時代に一度だけコーヒーを飲んだ女・千尋に10年越しでストーキング、盗聴、監視、住居侵入するってだけで変態的かつ激しいDV描写でR18も納得の物語。でも面白かった!久々に邦画で引き込まれたわー。ベッド下に潜んで憧れの女性の生活と真実を知りそして…って展開がいい。三井役の高良健吾も上手いし、苛烈なDVを受ける千尋役の西川可奈子が体張った演技で圧巻。ラストも良かった。
ここからネタバレあり!
高良健吾がイケメンすぎてこんな日陰キャラにはミスキャストだしリアルじゃない、みたいな意見がチラホラあるみたいだけど、そんな突っ込みは映画作品として詮無きことだしほんと興ざめだよ。じゃあこれが榎本兄弟だったらいいのか?って話だ。イケメンでいいじゃない。スクリーン映えって大事だよ。
西川可奈子の体当たり演技は凄まじかった。DVされてる時の悲鳴とか震えたわ。学生時代と主婦時代のビジュアルや佇まいの落差も激しい。ほんと上手いわ。正直あまり知らない女優さんだったんだけど映画より舞台の人なのかな。めちゃ美人てわけじゃないけど存在感のある女優さんだ。要注目。
三井の千尋へのいきすぎた執着は、千尋にもう一度自分の名前を呼んでほしいという三井の願いがストーキングといういびつな形で出てしまった悲劇であると同時に純愛でもあったと思う。三井の半生を思うと、どうにかその願いを叶えてやりたいとは思うんだけど…いや、さすがにベッド下はだめだけど…。
そんな歪んだ願いが結実するラストシーン、三井が「小石の裏の虫たち。人はこの虫たちがどのように生まれどう死んでいくのか興味もない。この虫たちの一匹は俺だ。30年という時間を俺はそんなふうに生きた。俺はいつも忘れ去られる側に立っていた。」と独白してからの、千尋の「三井くん!」で、危うく涙腺が崩壊しそうになった。願わくば罪を償った後に幸せな再会が、と思わずにいられない。
三井、千尋の二人にとってまさに救済の物語だった。
アンダー・ユア・ベッド R-18版(2018)
監督 安里麻里
出演 高良健吾, 西川可奈子, 安部賢一