正直そこまで面白くはなかったなー。後半の異世界とか結局のところ何が言いたかったのか。初見だと物語も音楽も声優も米津もぜんぶいまいちで中途半端な印象。この腹落ちのなさはなんだろう? なんなら途中で寝そうになった自分に驚いた。これが宮崎アニメの最期の作品になると思うと寂しいなあ…。
ここからネタバレあり!
冒頭、空襲シーンの炎の表現はさすがの迫力だった。鬼滅とはまた違う炎!これは期待値が上がる!てなったけど、そこからは失速。何時?何処で?誰が?何を?なぜ?みたいな状況に放り込まれて意気消沈…。映像は宮崎アニメらしさが多々あったけど、物語がどうしてもなー。
後で調べて腑に落ちた解釈だったのが、眞人の成長と実母や義母との関係性というストーリーと、眞人の自傷行為や石の世界の事象や継承という宮崎監督のメッセージを分けて捉える必要があるという意見。この二つの構造は全く別物なので最期まで合流しない。まとめて理解するのは難しいと。なるほど、納得感あるわー。
石の世界はスタジオジブリの暗喩だという意見も腑に落ちる。石の世界はジブリでそれを維持する年老いた大叔父は宮崎監督だろう。世界を維持している13個の積み石はこれまでの宮崎監督の13作品。今にも崩れそうな積み石を横から勝手に積んで世界を崩壊させるインコ王は鈴木プロデューサーか。そして世界の崩壊とともに飛び立っていくインコたちは若きアニメーターたちだろうか。いや知らんけどw
それはそれとして、ポスターにもなってるアオサギがこれまた腹落ちしない。物語の案内役なんだけど中身は禿げた鼻でか親父というマスコットにしづらいビジュアル。最初は敵対してたけど最期は友達になるとかどないやねん。ペリカンは何を意味するんだろう?ペリカンに食われるワラワラは?子供時代の母親はメラメラの実でも食ったのか? 謎だらけだー。
映画の原案の一つらしい小説『失われたものたちの本』を読むと設定とか登場人物とかそのままみたいで、映画でよく分からなかったところが理解できる謎が解けるんだとか。さらには王道のクライマックスとラストで映画のモヤモヤを一掃してくれるらしい。こうなるともう読むしかない気がしているw
まあ、監督自身も試写で「おそらく、訳が分からなかったことでしょう。私自身、訳が分からないところがありました」とか言ってたくらいだから、分かろうとするのがそもそも間違いなんだろうな。もはや芸術家の妄想が炸裂したアート作品としてとらえるべいなんだろう。合掌。
君たちはどう生きるか(2023)
監督:宮崎駿