
前に観たけど、子供たちにも見せたくて再鑑賞。60年代アメリカの黒人差別を描いた作品だけど、しっかりエンタメとして昇華されてて見やすい。黒人差別を知るきっかけになるという印象は今回も変わらず。むしろイタリア系アメリカ人への差別も描かれていて、アメリカが抱える現実を再認識させられる。フライドチキンの件は最高に笑えるし、手紙の伏線からのラストの回収も見事だ。心に残るシーンばかり。やっぱりいい映画だよなー。
ここからネタバレあり!
実話ベースの作品だけど、脚本を書いたのはトニーの実の息子ニック。父から聞いた話や当時の手紙がベースだから手紙のくだりにリアリティがあるわけだ。ただシャーリーの遺族からは「実際は孤独じゃなく家族と頻繁に連絡を取ってた」と抗議も出たとか。トニー側の視点で描かれてるぶん、シャーリーの実像とはズレたんだろうな。フライドチキンも本当は食べたことあったらしいw
そんなケンタッキーのフライドチキンも大食いのホットドッグも、ヴィゴ・モーテンセンは実際に食べまくったんだとか。役作りでモデルの体型に寄せて15キロ以上増量したうえであの豪快な食べっぷり。まさか『ロード・オブ・ザ・リング』のアラゴルンとは思えない。ほんとプロだよなw
この映画がアカデミー作品賞にふさわしいか賛否あるという議論。あらためて観て、あの批判は的外れだと再認識したよ。「白人が黒人を救済する構図だ」とか言われるけど、そうは感じない。トニーもシャーリーに気づかされてるし、ラストでは自宅に招くほど価値観が変わってる。一方通行じゃなく相互に変わる物語じゃないか。そもそもイタリア系のトニーだって差別されてるしな。
もうひとつの「制作陣が白人ばかりだ」という指摘に至っては論外だ。いい映画を作るのに制作陣の人種バランスなんて関係ないだろと。作品の質じゃなく人種や性別で評価しようとする発想こそ今のハリウッドの病だよ。ポリコレや多様性の名のもとにアカデミー賞にまで属性の基準が持ち込まれてる現状は本末転倒。近年のディズニーが迷走の末に原点回帰を見せ始めてるのは救いだ。
タイトルの由来「グリーンブック」、黒人が安全に泊まれる宿を記した専用ガイドが実在したという事実にも驚かされる。白人も黒人も出自によって差別され孤立させられてきた歴史がある。そのメッセージは複雑でリアルだ。黒人差別を描いた作品は他にもあるから、子供たちにも引き続き見せていきたい。次は『マルコムX』か『リンカーン』、同年にオスカーを競った『ブラック・クランズマン』あたりかなー。
グリーンブック(2018)
監督 ピーター・ファレリー
出演 ヴィゴ・モーテンセン, マハーシャラ・アリ