デンジャラス・プリズン 牢獄の処刑人

デンジャラス・プリズン

なんとも不思議な映画だ。バイオレンスな監獄アクションものかと思いきやリアルな人間ドラマでもあり。なんというかテンポが独特なんだよなー。アクションももっさりだしそこそんなに丁寧にやる?みたいなシーンがいたるところに。プリズンと謳いながら監獄入るまで1時間かかるってw。人体破壊シーンもチープで好み。なんかクセになりそうだ。冒頭、主人公が「世の中は公平じゃない。努力は必ずしも報われない」って台詞が泣ける。

以下、ネタバレあり!!!

主人公のブラッドリーは長身かつマッチョな肉体とスキンヘッドの後頭部に十字架の入れ墨という近寄りたくない風貌。でも、そんなブラッドリーも冒頭10分でいきなり仕事を首になって、失意の帰宅でまさかの嫁浮気が発覚するという悲劇のコンボ。なんて可愛そうな奴だろう…。

浮気発覚で怒りのあまり車を素手で破壊して、その直後に嫁と話し合って和解するまでの件は、主人公ブラッドリーの人間性を完璧に表現していて導入として実に秀逸なシーンだなと。圧倒的な攻撃力でキレると怖い、でも感情をコントロールできる冷静さあり、意外と真っ直ぐな男などなど。巻き戻して2回観たよ。

おまけに、嫁との話し合いシーンで語る言葉が、「世の中は公平じゃない。努力は必ずしも報われない」「いい家に住みたい。子供と幸せに」「状況を変えてみせる。辛抱できるか?」という…。藻掻き苦しむ男の悲哀がビシビシ感じられて、観てるこっちはもう応援するしかない気持ちに。なんとか成り上がってくれ!と。

そんなブラッドリーを演じるビンス・ボーンだけど、とにかく風貌の迫力というか存在感が最高すぎる。ビンス・ボーンは身長196cmで、ブラッドリーは元ボクサーという設定。重量級のズシリと重たいパンチが迫力満点で、もっさりしたアクションなんだけど、むしろそれがリアルでたまらないし、迫力あるんだよなー。最近流行りの超テンポ速い系のアクションとは真逆で新鮮さすら感じる。

この作品の個性なんだけどとにかくテンポが遅い。遅いというかやたら丁寧。狙ってやってるのかな?なんかクセになるんだよなあ。映像も青みがかったこだわり具合だし。どことなくだけど、ニコラス・ウィンディング・レフン監督の作品に似てるような気がする。『ドライブ』とか『オンリー・ゴッド』とか。気のせい?w

最後は「やっぱそうなっちゃうかー!」なオチでスカッと?潔いエンディング。でも、できればラオウばりの攻撃力で脱獄してほしかったなー。嫁も待ってるし、産まれてくる娘にも会わせてやりたかったよ。最後まで「努力は必ずしも報われない」のかと思うと悲しい。泣ける。

とりあえず、S・クレイグ・ザラー監督の作品は漁ってみないとな。『ブルータル・ジャスティス』はR15でメル・ギブソン主演てだけでヤバイ予感しかしないw。『トマホーク ガンマンvs食人族』にいたってはタイトルだけでもうお腹いっぱいだぞw

デンジャラス・プリズン 牢獄の処刑人(2017)
監督 S・クレイグ・ザラー
出演 ヴィンス・ヴォーン, ドン・ジョンソン

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この記事を書いた人

東京在住の映画好きアラフィフ男子。オールタイムベストは『ゴッドファーザー』。最近はもっぱらVODでの鑑賞がメイン。でもやっぱりスクリーンで観たい。息子を映画好きにする計画を実践中!あと映画好き仲間と不定期で映画館に行く「映画部」も活動中w

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