不幸な孤児のオリバー・ツイストがこれでもかという苦難を乗り越えて幸せになろうとするチャールズ・ディケンズとやらの名作を、ロマン・ポランスキー監督が真面目に映画化してみましたってとこかな。映画としては、ある意味まっとうに過ぎる内容ゆえ、映像美と役者陣の頑張りで味わいマシマシな感じ。
80億円かけたという19世紀ロンドンの街並みは確かにリアル。でも、そんな街並みよりもリアルに感じたのは、イギリスの厳然たる階級社会(支配者階級と労働者階級のハッキリとした区別)だ。住む家も地区も違えば、橋の上と下でもまったくの別世界。スラム街の路地は水浸しの泥まみれ。あれ排泄物とかも混じってるんだろうな…。俺も頑張らないと…。
主演のオリバー・ツイストを演じるバーニー・クラークはもちろん、スリの少年ドジャーのハリー・イーデンが何気に印象的。アカデミー俳優でサーの称号を持つ名優ベン・キングスレーも個性的すぎる役を上手く演じている。
あとは、出だしの絵? 版画? みたいな映像から現実の映像に変わってく入りのシーンが楽しかった。で、何よりも黒や銀がかかったようなこだわりの色彩色味がスクリーンで観るといっそう綺麗。
オリバー・ツイスト(2005)
監督:ロマン・ポランスキー
出演:バーニー・クラーク, ベン・キングズレー