
映画部で公開初日に鑑賞。いや凄いアニメだった。門脇監督初の長編アニメで、二人の男子が小学校3年で相棒になり、疎遠になり、大人になるまでを描く。言葉にするのが難しいけど、あの頃の懐かしさと、しまい込んでた記憶をほじくり返される気持ち悪さに身悶える。ラストは二人ならではの終幕なんだけど、個人的にはしっくりこなかったな。刺さったトゲはそう簡単に取れないよ。圧倒的な作画も相まってとにかく凄い作品。疲れたw
ここからネタバレあり!
話題作だし力作だとは思う。ただ、もう一回観たいかというと悩ましいんだよな。翼と暁太郎、小学校で出会った二人の関係の変遷は、映像を通すとどこか特別に映る。でも冷静に考えれば、仲良かった友達とふとしたきっかけで疎遠になるなんてよくある話。それでも、ちょっとした行き違いが修復されないまま終わってしまうのは、やっぱり辛い。
しかも暁太郎は、相棒だったはずの翼に嵌められてクラスで孤立していく。うっすらとした虐めのような状況にまで陥っていくんだよなあ。これがほんとに苦しい。翼視点から暁太郎視点に切り替わっても、晴れるどころか苦しさが増していくばかり。そこに小夏まで絡んで、物語はどんどん泥沼にはまり込んでいく。
もう見てるこっちが疲れてしまって、最後はいっそ本物の宇宙人に変身してほしかったよw 「実は宇宙人でしたー」で明るく終わってくれよ、と鑑賞後に友達と言い合ったくらい。
暁太郎の「お前さえいなければ」という言葉はほんとに重い。でも、小夏からの手紙が嘘だったとわかった途端に憑き物が落ちたようになるのは、どういう心理なんだろう。そこから数年後、大人になった二人が再会して、子供の頃に交わした「じゃあね」をもう一度言い合って終わる。……うーん、しっくりこないんだよなあ。
翼が犯した罪、暁太郎の人生を変えてしまうほどの業の深さが、何も贖罪されないままなんだよな。やった側は忘れがち、というテンプレそのまま。一方でやられた側の暁太郎は、人生が大きく狂わされてる。なのに二人とも、過ぎたこととして前を向いて歩き出したような終わり方。いやいやそこは「じゃあね」じゃないだろ!
この映画、観る側が子供時代に翼だったか暁太郎だったかで、見え方が正反対になるような気がする。賛否が割れるのも、たぶんそこなんだと思うな。だからこそ独りで観るのはしんどい。見終わったあとの飲み会で「俺は翼だったかも」なんて言い合えたのが救いだった。映画部で見てよかった。
とはいえ、作画は本当に凄かった。ただ綺麗なだけじゃなく、とにかく動きがリアル。調べてみたら、ほぼ全カットで子役を使い、実際のシーンに近い状況で実写のプレビズ撮影をしてから作画する手法をとってるらしい。ランドセルだけトレースする、体幹の軸だけ取って残りはゼロから描く、みたいにカット単位で使い分けてるんだとか。小学生の走り方があんなにリアルなわけだ。作画期間は約3年半。これが29歳の初長編っていうんだから唸るしかない。
もっかい観ることあるかなあ。うーん、直近では無理だなw
我々は宇宙人(2026)
監督 門脇康平
出演 坂東龍汰, 岡山天音, 山﨑天, 松井ケムリ
