最高!涙涙涙の感動作。ろう者の家族の中でただ一人の聴者である少女・ルビーの物語。ルビーが家族の通訳係として生きるのか自分の道を歩むのか悩み藻掻く姿に心が揺さぶられたよ。また主演のエミリア・ジョーンズの演技と歌声が素晴らしすぎて。下ネタが多いって意見もあるけどまったく気にならなかった。むしろ下品な手話がリアルに感じられたしな。ラストの歌の演出も最高だった。アカデミー賞作品賞も納得の清々しい名作です。
ここからネタバレあり!!!
スクリーンで観たんだけどとにかく泣けた。涙がとまらなかったよ。一緒に観てた嫁は後半ほぼ泣いてたしw。上映中も周りからすすり泣く声や鼻をすする音が聞こえてたしな。鑑賞後、二人で「ほんといい映画だったなー」と暖かくも清々しい余韻にひたりまくりだった。これ今年No.1じゃなかろうか?ジャンル違うけど『マーヴェリック』ばりの満足感だ。
とくに良かったのが合唱クラブの発表会のシーン。ルビーたちが歌ってる途中で突如無音になる演出があってこれにはほんと驚かされた。耳が聞こえる世界とそうでない世界の違いがここまであるのかと……。音のない世界に住む両親のリアルとの埋めがたいものが一気に押し寄せてくるような素晴らしい演出だったと思う。周りの人の反応で娘の歌声の評価を読み取ろうとキョロキョロする父・フランクの姿が……。
さらにまた泣けたのが、フランクがルビーの喉に手を触れその振動で娘の歌声を聴こうとするシーン。娘の歌声と才能を理解してやれない悲しさともどかしさが溢れ出る名シーンだ。また前段の無音シーンの後だからフランクへの共感度がましましになってこれでもかと胸に迫ってくるんだよなー。もうしゃくりあげそうになるくらい泣いてしまった……。涙ぼろぼろ……。
ラスト、ルビーが来るまで旅立つシーンの手話、あれなんて意味だろう?と思ってたら「I love you.」て意味なんだとか。知らなかった。さらにルビーがやったように人差し指と中指をクロスさせると「I really love you.」になるんだとか。ルビーの家族への思いが伝わる素敵なシーンじゃないかー。
あと名曲揃いなのも見逃せない。高校の合唱でマービン・ゲイとか格好いいな!w。ラストのオーディションでルビーが歌うジョニ・ミッチェルの名曲「青春の光と影(Both Sides, Now)」は、ルビーの人生に重ね合わされて素晴らしいとしか言えない。さらにエンディングの「Beyond the Shore」は監督が作詞した曲で、ルビーのその後を描いた歌なんだとか。これがまたいい曲なんだよなー。
ちなみに、この作品は、2014年のフランス映画『エール!』のリメイクなのだ。『エール!』はまだ観てないけど、主な違いは家族の仕事が酪農で、ルビーの兄弟は弟で、ルビーは中学生なんだとか。それと役者がすべて聴者で手話を覚えて撮影したとか。あとはフランス映画らしく下ネタがオープンらしいw
アカデミー賞で作品賞、脚色賞、助演男優賞を受賞したのも納得の名作。誰しもにオススメできるいい映画だよ。アカデミーもこういう作品にこそもっとスポットライトをあてて賞をあげてほしいな。なんなら『マーヴェリック』にも作品賞あげてもいいぞ!
コーダー あいのうた(2022)
監督:シアン・ヘダー
出演:エミリア・ジョーンズ, トロイ・コッツァー, ダニエル・デュラント, マーリー・マトリン